ヤツシロソウの名称の由来について

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 同窓会本部の広報委員である岡村洋文様からヤツシロソウの由来について、以前私が書いたブログにコメントが寄せられました。ヤツシロソウは「熊本県八代で発見されたからこの名がある」というのが多くの植物図鑑の記述です。例えば、『日本の野生植物』(平凡社)、『日本の野草』(山と渓谷社)などなど。『改訂増補牧野新日本植物図鑑』(北隆館)には少しニュアンスが違って「九州(熊本県)八代からこの種が入ったのでヤツシロソウという名がついた」と記述されています。この「種が入った」という表現は何でしょう。「種」は「しゅ」(品種)と読むか「たね」と読むかで違ってきます。「八代で初めて発見された」という通説についても、現在(というよりずうっと以前から)八代に自生はないことは、いかに長年の間の気候変動、環境変化があったにしても納得がゆきません。

 ここでヤツシロソウを栽培普及しておられる箕田澄雄さんから以前いただいたチラシに - 肥後八代「松井家」とヤツシロソウ」- というものがあったことを思い出しました。それによると「江戸時代の参勤交代の際、献上花として届けたことにより、命名されたと伝えられている。」とありました。熊本大学薬学部薬草園のWEBでもこの説が書かれていました。「 ヤツシロソウ 八代草の名の由来は八代の人が江戸に運んでからだとさる」と。おそらく阿蘇高原の自生の花を、鉢植えにするか種(たね)として献上したのではないでしょうか。私はいまでは、この説が正しいのではないかと思うようになりました。いずれにせよ一次資料がないので断定はできません。 村田 護

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